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公正証書遺言のメリット・デメリットについてのQ&A

  • 文責:所長 弁護士 伊藤貴陽
  • 最終更新日:2025年3月31日

公正証書遺言とはどのような遺言ですか?

公正証書遺言は、公証役場において、公証人という専門家が作成する遺言のことです。

遺言の内容を公証人に伝え、それを公証人が公正証書という形式で作成し、内容を確認して問題がなければ、遺言者と公証人、証人2人がそれぞれ署名・押印をするという流れで作成されます。

他方、この公正証書遺言と対比される遺言として、自筆証書遺言があります。

自筆証書遺言は、財産目録を除き、すべて遺言者が自筆で書く遺言のことです。

公正証書遺言のメリットは何ですか?

公正証書遺言にするメリットとして、①形式不備が生じないこと、②滅失・汚損の心配がないこと、③効力を争われにくいことが挙げられます。

これらのメリットは、自筆証書遺言とした場合と比べてみると分かりやすいです。

① 形式不備が生じないこと

遺言は、法律によって形式が厳格に定められています。

形式に不備があると、無効になります。

自筆証書遺言の場合、ちゃんと調べたつもりであっても、専門家でない方が書けば、間違いが生じる可能性は否めません。

公正証書遺言の場合、法律の専門家である公証人が作成しますので、形式的な不備が生じないといえます。

② 滅失・汚損の心配がないこと

自筆証書遺言は、原則的には世界に1枚しかありません(予備を作ったとしても、せいぜい数枚です)。

他方、公正証書遺言は、原本、正本、謄本の3種類が存在します。

原本は公証役場で保存され、通常手元にあるのは、正本と謄本です。

正本や謄本は、相続登記や銀行口座の名義変更で使用可能です。

そして、正本と謄本は、何度でも発行可能ですので、万一なくしたりしても、心配ありません。

③ 効力を争われにくいこと

自筆証書遺言は、相続が発生した際、相続人間で効力が争われやすいです。

例えば、筆跡が被相続人のものではないと主張されたり、形式に不備があることを指摘されたり、遺言作成当時被相続人には遺言能力がなかったと主張されることがあります。

公正証書遺言の場合、公証人が作成するので、筆跡は問題になりません。

形式不備も基本的には発生しません。

そして、公証役場で遺言書を作成する際は、公証人が遺言者と対面で内容確認等をします。

その際、認知の衰えなどによって受け答えができなければ、公正証書は作成されません。

言い換えますと、公証人が対面で確認し、遺言能力に問題がなさそうだと判断できる場合に公正証書遺言は作成されるということになります。

公正証書作成のデメリットは何ですか?

公正証書遺言を作成する際は、自筆証書遺言に比べると、時間、労力、お金が必要になる点がデメリットかと思います。

まず、遺言の文案を作成する際は、形式面含め、公証役場と厳密に内容を詰めていく必要があります。

そして、内容が固まったら、原則として公証役場まで行き、公証人と面談をして遺言を作成する必要があります。

なお、脚が不自由等の事情があれば、公証人が出張してくれることもあります。

公正証書遺言の作成時には、証人2名も必要です。

また、公正証書遺言を作成する際は、公証役場に手数料を収める必要があります。

公正証書遺言の費用に関してはこちらもご覧ください。

仮に弁護士等の専門家に公正証書遺言の文案の作成を依頼した場合、弁護士費用等も必要です。

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