遺留分侵害額請求
遺留分を請求する方法
1 任意交渉
遺留分侵害額請求をする場合、必ずしも裁判による必要はなく、任意交渉として遺留分を請求することができます。
しかし、遺留分侵害額請求権には時効があり、遺留分が侵害された事実を知った時から1年、または相続開始後10年経過してしまうと、時効にかかってしまうので注意が必要です。
時効にしないためには、遺留分侵害額請求をする必要があるのですが、単に口頭や一般郵便で遺留分侵害額請求をしたとしても、言った・言わない、郵便が届いた・届いていないといった水掛け論になってしまう可能性があります。
そのため、確実に時効を止めるために、遺留分侵害額請求をする場合には、内容証明郵便によって遺留分を請求する旨の意思表示を示すことが一般的です。
内容証明郵便とは、郵便局が差出人・宛先・内容・差出日時を証明する郵便のことです。
内容証明郵便では、遺留分侵害額請求をした日時が明らかになりますので、時効完成前に請求をしたことが証拠として残ることになります。
2 調停
任意交渉が難しい場合、裁判で遺留分侵害額請求について協議する必要があります。
遺留分侵害額請求では、原則として、訴訟の前に、調停をしなければなりません。
遺留分侵害額請求調停で行う裁判所管轄は、請求の相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所となります。
調停は、非公開での話し合いの場になります。
調停委員が申立人と相手方の間に入って、相互の話を聞きながら、合意できるかを模索することになります。
調停が成立すれば調停調書が作成されます。
調停調書で定めた内容に従わない場合には、調停調書を債務名義として強制執行をすることができます。
3 訴訟
遺留分侵害額請求調停の場でも合意ができない場合、調停は不成立となります。
遺留分侵害額請求の場合には、審判には移行しません。
調停で合意ができなかった場合には、地方裁判所か簡易裁判所で訴訟を提起することになります。
請求額が140万円を超える場合には地方裁判所で、140万円以下の場合には簡易裁判所に対して訴訟を提起することになります。
訴訟では、調停と異なり、公開での裁判となります。
双方がそれぞれ主張と立証を行い、最終的には判決によって遺留分侵害額請求の金額が決まります。