遺言の検認手続の流れと必要書類
1 検認の申立
⑴ 戸籍の収集
検認を申し立てるためには、戸籍を収集する必要があります。
必要となる戸籍の範囲は相続人の続柄によっても異なりますが、最低限、①遺言者の出生から死亡までの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改正原戸籍)、②相続人全員の戸籍謄本が必要になります。
戸籍の取得にかかる費用ですが、2024年9月時点で戸籍謄本は1通あたり450円、除籍謄本と改正原戸籍は1通あたり750円の手数料がかかります。
⑵ 申立書
検認の申し立てに当たっては、家事審判申立書と当事者目録を作成する必要があります。
それぞれの書式は、裁判所のサイトからダウンロードすることができます。
家事審判申立書と当事者目録の作成が完了したら収集した戸籍を添付し、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に対して申立をすることになります。
申立に必要な費用としては、遺言書1通につき収入印紙800円分が必要になります。
そのほか、連絡用の郵便切手が数百円程度必要になります(連絡用の郵便切手の料金は、各家庭裁判所によって料金が異なるため、申し立てる先の家庭裁判所に確認する必要があります。)
2 検認期日の日程調整
申立をしてから、数週間程度すると裁判所から連絡があり、検認期日の日程調整をすることになります。
検認日は、裁判所から連絡があってから1か月~1か月半後程度に設定されることが多いです。
日程調整が終わると、相続人全員に対して検認期日通知書と出欠回答書が送られることになります。
3 検認期日当日
検認期日当日の持ち物としては、①開封前の遺言書の原本、②検認通知書、③身分証明書、④印鑑、⑤後述する検認済証明書を申請するために必要となる150円分の収入印紙を用意しましょう。
検認期日は、申立人は必ず出席する必要がありますが、そのほかの相続人については、出席は必須ではありません。
検認期日には、申立人、出席した相続人、裁判所の職員が立会います。
検認手続では、遺言書が開封され、遺言の内容が読み上げられます。
所要時間は10分~15分です。検認が終わると、検認済証明書が作成されます。
検認済証明書は預金の解約や不動産の登記名義の変更を行うのに必要となりますので、交付を受けるようにし、交付を受けた後は大切に保管するようにしましょう。
このように、自筆証書の遺言書が発見された場合には、検認手続が必要になります。
自筆証書の遺言書が発見された場合には、まず一度弁護士に相談することをおすすめします。